喪失に向き合う一曲。Amber Run「Amen」和訳と感想

音楽雑感和訳

Amber Runの「Amen」があまりに素晴らしいので、感じたことや訳を載せてみることにした。なお、このページに載っている和訳は、もとの英語の表現を個人の感想を交えて意訳したものです。原曲のフィーリングが気になった方はぜひ、リリックビデオや歌詞サイトで原詩に触れてみてください。

「Amen」について

インスタアカウント「Loki the Wolfdog」のBGMで使われていたことから知った、Amber Runの「Amen」。

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We shot this the day before Bailey went into surgery. It was a heavy time, and we got lost a few times trying to find this lake. We finally got to a place where we were able to put the canoe in, and as we placed our hands on the boat to set it into the water, a crack of thunder rang out. We waited a bit for the lightning to die down, but it was followed by snow:) No complaints though, it was an awesome day. 🔊: “Amen” by @amberrun _ Bailey is healing and we are still waiting on full results, but the spot on his liver came back as benign! We love you guys and thank you for your well wishes for the mouse. _ We’re headed to the GoPro Mountain Games in Vail for the weekend. If you see us, stop and say hi! #GoProMtnGames #GoPro

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シンプルなギターループと、ハイポジションのピアノを含むいくつかのアンビエントというシンプルな構成に、フラフラと浮かぶように始まり最後にはヤケドするほどの熱を放つジョー・ケオのボーカル。そして繰り返される”Amen”という祈り。キリスト教文化圏で考えるとこの言葉は、般若心経の「羯諦羯諦」で唱えられる仏教真言のような、訳さずにそのままを感じるべき言葉だろうか。

全体的にナヨナヨしている歌詞、と言ってしまえばそのとおりなのだが、実際に何かを失ったことがあればこの歌詞が深く染み入ってくる人も多いのではないだろうか。駄々っ子のように「I don’t want to be here, I don’t know what to do」と畳み掛けるところはこちらも苦しくなってくるし、「Sometimes I’d rather be dead, at least then I’m with you」と言い放たれると、こちらまで虚脱してしまう。

「誰かを失った深い悲しみ」について書いた歌詞であるが、バンドのインタビューや、ライブのMCでも具体的なことは語られていない。これほどの曲を書き、これほどの熱量で歌われるのだから、ぜひ背景を知りたくて2018年のインタビューを探したが、映像・文章ともに見つからなかった。唯一、2018年5月14日にイギリス・ブライトンのGreen Door Storeで行われたライブのレポートに、手がかりになりそうなことが書かれている。

Describing the three new tracks online, the band spoke of “extremely personal songs that we wanted to get out into the world in the same moment they were conceived”.

(ライブのMCにて、EP"The Assembly"の)3曲がすでにストリーミングで聞けることを説明したうえで、彼らは「どうしても同時にリリースしたかった、とても個人的な3曲なんだ」と話した。

https://brightonsfinest.com/html/sitemap/8-reviews/3748-amber-run-green-door-store-14th-may-2018

“The Assembly"の他の2曲や、彼らのこれからの活動、インタビューを読み解いていくことで、改めて「Amen」をもっと深く知ることができるだろう。それだけ長く付き合いたいと思える一曲だった。

Amber Run「Amen」

Lyric Video

和訳

雑誌に載っている天使は本物なのか?
天国なんてものがあるのか?そっちにいる君にはわかるだろ
夜空にぶらさがっているのは本物の星なのか
誰かが作ったものなのか、それとも光のトリックかも

エイメン エイメン エイメン

神がいるのなら、なぜ手を貸してくれないんだ
ぼくの心のなかには怒り狂う悪魔がいるのに
こんな日々にも理由があったと感じられる瞬間はあるのか
さよならを言ってしまえば、それで終わりみたいじゃないか

エイメン エイメン エイメン

ときどき君のことを責めたくなるんだ
こんなところに置き去りにして、どうしろというんだ
セックスも酒もドラッグも手に入るけど
ぼくたち2人はもう知っている、それでは何も癒せない

真昼に君の影を見るし 夜には君の声が聞こえる
君の姿が目に焼きついてるんだ
こんなところにはいたくない
もうなにをしたらいいのかわからない
死んでしまいたいと思うことがあるんだ
そうすれば君と一緒になれるだろ

エイメン エイメン
ああ 神よ
神様 神様
神様 神様

訳:Mediumbuddha
参照元:https://genius.com/Amber-run-amen-lyrics


The Assembly Amber Run

この記事を書いた人
七里ガ浜で笑う筆者

Mediumbuddha

1989年、北海道札幌市生まれのインディ音楽ナイスガイ。

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Twitter→→→@fuloba

2018年12月11日音楽雑感和訳