今は無き代々木マルディックスタジオのレコスタで録った「Deus ex machina / 千の魔法」①

作曲・レコーディング

美術の人達がよく「習作」っての作ったりしてて、カッコイイなと思う。「デモ音源」との違いって、何なんだろうか。Wikipediaで調べると、「練習のための作品」とあるから、音楽で言うところのプリプロみたいなものだろうか。

今回上げた「Deus ex machina / 千の魔法」は、メインとなるコード進行・リフ・メロディに対して結構いろんなアプローチを試した曲だ。カッコつけて、習作って言ってみたい。言ってみたい。でも習作だとちょっと意味が変わるのかもしれない。でも言いたい。

ちなみにこの画像は、音とはまったく関連のない、ポルトガルのシントラにある「ムーアの城壁」だ。なんかスカッとする写真を貼りたかったから貼った。

貼りたかったから、貼った!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「千の魔法」

音源

歌詞

ほだされて、日々
いびつな旅路
語り部が持つ言葉、風下へ

出会ったことはまだ 1000のうち5つ目の魔法
別れすら、9つ目だった

「帰路フォビアゆえ、触れられると溶けてしまう」と
つぶやく嘘と本当

最後数秒、がれきの音
足がブリキの星座売人
オルゴールが音を忘れ
錆びて、消える前に
雨が降ればいい

出会ったことはまだ 1000のうち5つ目の魔法
終わりは想像もつかぬほどだろう

割れる風船 顔を見合わせ笑い転げた二人
火照る頬を互いの手で包みあった瞬間が
呪いだった
7つ目だった
呪われていた
おそらく、8つ目の始まり

願われたこと 願いあうこと
言葉が終わり はにかんで

最後数秒、がれきの音
足がブリキの星座売人
オルゴールが音を忘れ
錆びて、消える前に
雨が降ればいい

この曲について

2008年~2010年にかけて活動していた「hushigitoshi lilydiesel」というバンドで演奏するために作った曲。

2010年ごろの歌詞なので、自身で振り返りながら読んでみると暗く感じるんだけど、他の人からするとそんなでもないかもしれない。【ほだされて、日々 いびつな旅路 語り部が持つ言葉、風下へ】とか【出会ったことはまだ 1000のうち5つ目の魔法 別れすら、9つ目だった】は良いフレーズだと思う。

当時、どんなに楽しく酒を飲んでも帰り道でズーンと落ち込むくせがあって、それが嫌で嫌で【帰路フォビア】という言葉で表現している。帰り道恐怖症。

当時20歳だった自分にとって、「人生」は手に負えないぐらい長いものに思えていた。あの時俺は大学三年生で、売れないバンドマンで、痩せっぽっちのチビで、中途半端な若者だった。「就職活動」という得体のしれない強敵に怯え、「10年後の自分の働き方を想像せよ」という意味の分からない課題に頭を抱えていた。その時の「なんでみんなすぐ5年後10年後の話ができるんだろうか、おれの人生、まだ0.9%くらいしか生きてないんじゃないか!こわい!先が見えない!」という不安から「千の魔法」というタイトルをつけたのだった。

アッッ!!!!!!!!!!!!!! 今もそうかも…!!!!!!!!!!!!!!!!!! でも!!!!!!!!!!!!!! いまはあの頃より美味しいものもたくさん知ってるし!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 助けてくれる仲間もいる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! だいじょうぶ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! だいじょうぶ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

しかしこのバージョン、展開が多くて疲れちゃうなぁ!今のバンドは「A→サビ→A→サビ」とかばかりだから、Dメロまであるこの曲は、聞いてて「ウッ」ってなる。こりゃあ、メンバーも覚えるの大変ね。

「実に無国籍なメロディだ!旅人だ!」と絶賛されていたイントロのリフは、実はゼルダの伝説・時のオカリナの一部と全く同じフレーズだった。無意識に出ちゃったんだなぁ。

この曲、レコーディングスタジオで録ってリリースもしたけど、アレンジに納得行かなくて何回か録り直しをした。でも、サビのハーフビートの爆発力や轟音アレンジは変わらないし、メインリフを気持ちよく響かせることは意識し続けていた。いろいろ作ることで本質が見えてくるってやつなんですかね?どうなんすかね?うつろいゆく時の中で、貴方と私だけが今も変わらずジルバ踊ってるんですかね?

記録

作曲:2009年12月 / 作詞:2010年8月
録音:2010年8月
環境:レコーディングスタジオ
ギター・ボーカルのみ自分の演奏。その他は当時のバンドメンバーによるもの。

この記事を書いた人
七里ガ浜で笑う筆者

Mediumbuddha

1989年、北海道札幌市生まれのインディ音楽ナイスガイ。

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Twitter→→→@fuloba

2018年11月6日作曲・レコーディング