「ビールスタンド重富」重富 寛さんの注いだビールは、”楽しさ”で満ちていた

お酒ビール, ピルスナー, 広島, 札幌


「広島を元気にする生ビールを提供し、そのノウハウを地域の飲食店に広める」をコンセプトに営業する重富酒店の角打ち「重富ビールスタンド」の重富寛さんが地元のビアフェスに出店していたので、飲みに行ってきました。

ビールスタンド重富は、同市中区にある「重富酒店」が運営している店で、毎日夕方の2時間だけ営業。広島では、ビールの銘柄を一つだけに絞り、サーバーから注ぐ時のグラスの位置、傾き角度、泡のきめ細かさなどを組み合わせ、10種類以上の味わい方を提供している。

数多くの味をつくりだしているのが、特注のビールサーバーで、1933年の図面をもとに復刻させたものだ。(中略)ビールを注ぐ店主の重富寛さんは、「ビールの苦みが苦手という方は多いですが、注ぎ方によっては、柔らかい泡に甘みを感じるビールにもなります。ぜひ、ビールの奥深さを味わってほしい」という。
https://www.yomiuri.co.jp/topics/ichiran/20180803-OYT8T50010.html

最初は「注ぎ分け」なんてしゃらくさい、と思っていた。天気も良くなかったし、疲れてるし、やめとこうかな、どうせピルスナーだし、なんて考えていた。間違いであった。本当に行ってよかった。

重富さんについて


まず、重富さんの人柄がほんとうに暖かく、粋な酒場のカウンターで飲んでいるような気持ちになれるのだ。丁寧にひとつずつ自分の注ぐビールやサーバーの構造、泡や苦味、旨味について伝えてくれる。そこに高尚ぶった感じはまったくなく、話したがりの気のいい酒屋の男性という感じなのである。しかし、彼がサーブするのは今まで口にしたことのないほど美しく注がれたビールだ。軽妙なトークと人柄に心をつかまれ、うまい酒に舌をつかまれた。

今回は札幌オクトーバーフェストで出店している関係上、一杯1200円と安くない値段設定であったが、これが500円で飲める広島の重富ビールスタンドは、とても素敵な場所なのだろうと想像できる。

今回飲んだビール


今回のビールの銘柄は、サッポロビール創業当時の製法で作ったピルスナー「開拓使麦酒」。注ぎ方は、「一度つぎ」「開拓使つぎ」「三度つぎ」「マイルドつぎ」「シャープつぎ」。まずは創業当時の注ぎ方であるという「開拓使つぎ」をオーダー。

開拓使つぎ


爽快感・甘み・苦味がベストバランス、という開拓使つぎ。飲んでみると、一般的に飲まれているピルスナーよりしっかりと味があって、少し「ぬるり」とした感触。飲み続けると、「あれ?これラガーだよな?」と疑問に思ってしまうほど、苦味とふくよかさが突き抜ける。この時点で未体験の楽しさ!一杯だけで帰ろうと思っていたが、ぜひ他の注ぎ方も飲んでみたいと、「マイルドつぎ」をオーダーすることに。

マイルドつぎ


注ぐ際に、重富さんがいろいろと解説をしてくれた。「泡に苦味を閉じ込めるんですよ、すすってみてください」と言われ、注ぎ途中のグラスに口をつけ泡を吸い込むと、鉄っぽいエグみ苦味!「これを別のビールにトッピングして、IPAのようなビールを作ったりもします」とのこと。そして、その泡の部分を取り除いて作る「マイルドつぎ」は、本当にクリーミーでなめらか。一杯目の「開拓使つぎ」と同じビールだとは思えないし、ブラインドテストをされても酒質に注目しないと間違えてしまうだろう。こんなに一種類のビールで心躍ったことはない。

重富さんが教えてくれたこと

「マイルドつぎ」を飲んで目を白黒させていると、お客さんがはけて暇になった重富さんが話に来てくださった。本当にいろいろなことを、ユーモアを交えて説明してくださったが、ここに文章でそのまま表現するのは難しいが、その雰囲気だけは書き残しておこうと思う。

注ぎ分け、ビールについて

「注ぎ分けをやるひとは全国にいるし、私なんかより上手な人は本当にたくさんいますよ!私がやっているのは、いろいろ飲めるコンビニエンスストアみたいな感じですかね」「泡のないエールより、苦味のないヴァイツェンより、ピルスナーのビールが注ぎ分けしやすいです」「あのビールサーバーは50年前のもので、すごく重くてホースが太い。いまのサーバーより4〜5倍くらい早く注げるんじゃないかな。今のほうが優しく、泡立たずに出てくるから、注ぎわけではそこの違いを利用するわけです」

広島の「重富ビールスタンド」について

「広島の重富ビールスタンドは17時から19時までしかやらないんですよ。昼は酒屋の仕事があるし、19時になったら私も飲みに行きたいですしね!」「おひとりさま2杯まで、としているのには理由があるんです。おつまみなしのビールって、3杯目から惰性になっちゃうから。それに、うちの周りに美味しいお店がいっぱいあるから、そっちに行って飲んでほしいんですよ!」

ぜひ体験を!

ここまで読んでいただいてなんだが、文章では重富さんのユーモアやホスピタリティ、そしてなによりビールのフィーリングを伝えることができない。興味を持った人はぜひ広島やイベントに足を運んで、飲みに行ってほしい!

この記事を書いた人
七里ガ浜で笑う筆者

Mediumbuddha

1989年、北海道札幌市生まれのインディ音楽ナイスガイ。

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2018年11月29日お酒ビール, ピルスナー, 広島, 札幌